通常の騒音測定では、法令に基づいた測定を行い、計量証明書などにより簡潔に結果を示すことが求められます。 一方、裁判や調停などの紛争に関連する騒音測定では、現在の騒音による被害状況を正確に把握することが最優先となります。
例えば、条例等の基準値との比較だけでなく、騒音の発生頻度や時間帯も、心理的な影響や身体への影響に大きく関わるため、詳細な分析が必要です。 騒音の発生頻度が頻繁である場合や、深夜・早朝に発生している場合は、睡眠障害やストレスなど、より深刻な影響を及ぼす可能性があります。
これらの要素は、一般的な騒音測定で得られるデータだけでは十分に評価できません。 そのため、騒音による被害状況を客観的に示すための詳細な分析と、それを裏付ける資料の作成が不可欠です。
1.裁定・調停を目的とした測定結果
問題となっている音の発生時間が特定できる場合は、その時間に測定を実施します。 しかし、24時間継続して発生する場合や、発生時間が不規則な場合は、連続24時間の測定を行うことが望ましいです。
エアコン室外機騒音を例に挙げると、室外機は定常的な騒音源ですが、負荷変動に伴い騒音レベルが変化します。 特に、気温の上昇や生活パターンによる負荷変動は、夕刻や夜間に騒音レベルを上昇させることがあります。 そのため、時間帯による騒音レベルの変化を把握するためには、24時間の連続測定が有効です。
間欠的な騒音や衝撃音の場合は、時間帯別の騒音レベルだけでなく、発生頻度や継続時間を詳細に調査することで、騒音による影響をより正確に評価することができます。 これにより、騒音源の特定や、適切な対策の実施に繋げることができます。
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2.測定方法の明確化
裁定・調停を目的とした騒音測定では、専門家だけでなく、一般の方々も資料をご覧になる機会が多いため、測定方法とその理由をできるだけ分かりやすく説明することが重要です。 例えば、なぜその測定方法を選択したのか、なぜこのような測定結果になったのかなど、条例やJIS Z 8731:2019などの基準を参考にしながら、図を用いて説明することで、より理解を深めていただけるように心掛けています。
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3.全てのデータと分析状況の明確化
騒音の測定結果は数値で示されるため、その数値の正確性が非常に重要です。 すべてのデータの集計結果だけでなく、個々のデータの分析結果も詳細に示すことで、測定結果の信頼性を高めることができます。
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4.計量証明書の発行について
騒音測定の結果については、計量法に基づいた計量証明書を発行することができます。 計量証明書は、公的機関や第三者に対して、測定結果が正確であることを証明するもので、計量法第107条の基準を満たした登録事業者が発行します。
ただし、計量法第107条の対象外となる測定については、計量証明書の発行はできません。 具体的にどのような測定が対象外となるかについては、当社または東京都計量検定所管理指導課指導担当までお問い合わせください。
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5.添付資料
騒音測定報告書には以下の資料を添付します。
・第107条計量証明事業者 登録証明願(東京都発行)
・計量法第118条検査合格証明書(東京都発行)
・騒音計検定済証(日本品質保証機構発行)
・JCSS 校正証明書(JCSS認定事業者発行)
6.報告書の提出について
測定終了後、約5営業日でご報告書をお届けいたします。
報告書は、原則として弊社担当者がお伺いし、測定結果をご説明させていただきます。 ご説明不要の場合は、郵送にてお届けします。
報告書の提出形式は以下の通りです。
- 印刷物: 2部(計量証明書を含む)
- 電子データ: PDF形式の資料(USBメモリ)
計量証明書は、その重要性から、改ざん防止の観点から印刷物のみでの提供となります。