掘割構造の高速道路に面した位置で、高さの異なる2点の同時測定を行いました。
道路の構造がすり鉢状の掘割構造になっている場合、道路境界線から少し離れるだけで地上付近からは高速道路の路面や車が通過する様子を見る事が出来ません。 同じ位置でも受音点が高くなれば上から見下ろせるようになり、路面からの直接音の影響を受けます。 このような立地で高い建物を計画する場合は、道路面が十分に見通せる居室窓面での測定が必要になります。
今回の測定では高速道路に面した外壁面予定位置で、4階窓面を想定した高さとして現況地表面+11mにP1、1階窓面を想定した高さとして現況地表面+2mにP2を設置し、連続する24時間の2点同時測定を行いました。
24時間のレベル変動をグラフにしてみました。
2点のレベル差を見ると高さによりレベルが大きく違う事が分かります。 最もレベルが高い時間帯は6時台で、P1では74dB、P2でも63dBありました。 その差は11dBとなりますが、遮音性能で考えると3等級以上の違いとなります。 特に着目したいのが夜間のレベルで、深夜であっても昼間と同程度のレベルが発生していました。 23時台に至っては昼間以上のレベルとなっています。
周波数特性では特に1kHz帯域に特徴がありますが、タイヤの転がり音や高回転時のエンジン音など比較的高い音が要因でないかと思われます。
掘割構造の高速道路は一見すると騒音レベルが低くなると思われるかもしれませんが、それは私達が地上付近で感じた音でそう思い込んでいるのかもしれません。 実際には横方向に拡散出来ない音が上方向に集中するため、道路面を見通せる高さでは一般の道路騒音よりも大きなレベルとなります。 今回の測定結果はその典型的な例なのではないでしょうか。