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測定結果の見方

前回は「騒々しい環境」として、いくつかの地域で測定した、24時間の騒音レベル変動図をご紹介いたしました。 この中で等価騒音レベル(LAeq)と同時に時間率騒音レベルや最大値・最小値を表示してあるのですが、時々これらの意味についてご質問を頂く事があるので、今回は測定結果の見方をご説明させて頂きたいと思います。

 

先ずは下の図をご覧ください。

 

これらは騒音状態の事なる道路の10分間の騒音レベル波形なのですが、等価騒音レベルの測定結果は全て 70dBA です。 騒音の状態が全く違うにも関わらず、全て同じレベルとなる事に、不思議に思われるのではないでしょうか。

理由は等価騒音レベル(LAeq)の評価方法にあります。
等価騒音レベルとは、時間の経過とともに不規則かつ大幅に変動する騒音レベルを測定し、実測時間内における音エネルギーの平均値を算出したものです。 つまり、変動するレベルのエネルギー的な平均値なので、変動の大きさに関係なく同じ結果になる事があるのです。 等価騒音レベルは環境基準における道路騒音の評価方法ですから、この結果だけでも十分ではあるのですが、これだけでは上図のような騒音の状態まで知ることはできません。 そこで時間率騒音レベルが重要になってきます。

時間率騒音レベルとは、実測時間内で変動する騒音レベルが、実測時間のX%にわたってあるレベルを超えている場合のレベルをいいます。 騒音の場合は90%レンジの時間率騒音レベルを用いることが多いのですが、実測時間が10分間であった場合の90%レンジ時間率騒音レベル上端値(LA05)とは、10分間の内、30秒間はそのレベルを超えている時のレベルをいい、下端値(LA95)とは530秒間はそのレベルを超えている(または30秒間はそのレベルを下回っている)レベルをいいます。 中央値(LA50)とはそのレベルを超えている(または下回っている)時間が5分間であるレベルをいいます。

例として上図から甲州街道の騒音レベル波形を見てみましょう。

 

 

拡大して頂けると分かりやすいと思いますが、レベル波形図の右側に演算結果の各評価方法があり、図中には凡例を付記しています。

演算結果の L5、L50、L95 (分析ソフト上の表記方法)が90%レンジ時間率騒音レベル上端値・中央値・下端値(LA05、LA50、LA95)になるのですが、このレベルを図中に横線として表記した場合、変動する騒音レベルが横線を超えている時間が30秒間・5分間・530秒間という事になります。

甲州街道の場合はレベル変動が大きいので、時間率騒音レベルのレベル差も大きくなりますが、保土ヶ谷バイパスのように定常的な音の場合は、下図のように時間率騒音レベルのレベル差が小さくなります。

 

 

凡例が非常に小さくまとまっていますね。 これを踏まえて前回の24時間のレベル変動図を見てみましょう。

 

 

日中の凡例が非常に小さくまとまっているので、レベルの変動幅がとても小さく、定常的な騒音の状態である事が予想できます。 深夜2時や3時は少し変動幅が大きくなっていますが、交通量が減少して僅かに変動的な騒音状態になったのでしょうか。

 

 

甲州街道の場合はどうでしょう。
どの時間も時間率騒音レベルの間隔が広いので、1日を通して変動の激しい騒音状態である事が分かります。 夜間では22時以降から6時まで LA05 と LA95 の間隔が非常に広くなっているので、交通量がかなり少なくなっている事が予想されます。 それでも等価騒音レベルが高いのは車速が上がっているからでしょうか。

 

このように時間率騒音レベルの見方を理解すれば、様々な騒音の状態を把握することができます。 等価騒音レベルで音の大きさや騒々しさを、時間率騒音レベルで騒音の変化を把握できれば、その騒音に対するより具体的なイメージを抱きやすくなります。 ぜひ、時間率騒音レベルにも注目してご覧ください。