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音の基礎知識

音とは媒質中(気体、液体、個体)の圧力変動が伝搬していく現象です。 空気中では音源の振動が空気を介して耳に届く事で「音」として感じる事が出来ます。
音の圧力変動は密と疎が繰り返す縦波で、密と疎の間隔が波長、1秒間の波長の数が周波数(Hz)となります。 音の大きさは空気の圧力の変化量によってきまり、この繰り返し変化する圧力を音圧といいます。

 

音の発生

空気中の音源が振動すると周りの空気に圧縮・膨張の圧力変化が生じ、この圧力変化が連鎖反応的に外側の空気へと伝搬していきます。 この空気の圧力変化の繰り返しが「音」として私たちの耳に届きます。
例えば広い駐車場に1台の車がアイドリング状態で止まっていた場合、エンジンやその他機関の振動が周りの空気の圧力変化を起こし、この圧力変化が連鎖反応的に外側に伝搬していく事で音が発生し、この空気の圧力変化が耳に届く事で私たちは「音」を感じているのです。

 

音圧レベル(デシベル)

音は空気の圧力変化によるものですが、大気圧からの圧力の変化分を「音圧」といいます。 人が聴くことができる音圧の範囲は、おおむね 0.00002Pa から 200Pa と言われていますが、最小値と最大値の幅が1000万倍にもなる量を物理量として表示する事はあまりにも範囲が広すぎます。 そこで考え出されたのが「デシベル表記」と言われる表示方法で、音の強弱を次式で与えられる音圧レベル(dB)で表示する事が国際的に決められました。

SPL(音圧レベル)=10×Log(p^2/p0^2)
(p0 は最小可聴音圧値の 0.00002Pa = 20×10^-6 = 20μPs )

この式は音圧を二乗して「音の強さ」に対応した量とし、最小可聴値で標準化して常用対数(Log10)をとって 10倍したものです。 これによって 7桁に及ぶ可聴音圧の範囲を 0~140 の数値で表すことが出来るようになりました。 2つの量の比の対数はベル(Bell)と称されますが、この式では更にベルの 1/10 である事から、音圧レベルの単位は 1/10 を表す d (デシ)をつけて dB (デシベル)と定義されています。

この様な理由から音圧レベルの数値では単純な加減算ができません。 ただし対数計算の特徴として音のエネルギーが n倍になったとき、音圧レベルの増加量は 10×log10(n) で求めることができます。

音の強さの変化(n倍)に対する音圧レベルの増加量(小数点以下は四捨五入)

n 2 3 4 5 10 100
デシベルの増加量 3 5 6 7 10 20

エアコン室外機の動作音のレベルが 60dB だった時、同じ室外機が2台に増えると 120dB ではなく 63dB 、3台の場合は 65dB になります。 これは減少量としても扱う事が出来ますので、音圧レベルを 5dB 減少させようとした場合、音のエネルギーを 1/3 にする必要があります。

 

音の伝わり方

小さな球体が振動し発生した音は、球体(音源)を中心に球面状に拡がっていきます。 球体の表面積は 4πr^2 で表されるため、球体からの距離が2倍になると表面積は 4倍になり、音のエネルギーは 1/4倍になります。 これをレベルに換算すると減衰量は 6dB となることから、点音源の減衰量は倍距離 -6dB と考える事が出来ます。

自動車や飛行機などは十分に離れてみると小さな点音源と考えられますが、鉄道騒音や道路交通騒音などは点音源が連なった線音源と見ることができます。 線音源の音のエネルギーは円筒状に拡がりますから、音のエネルギーは 2πr に反比例すると考えられます。 つまり伝搬距離が 2倍になれば音のエネルギーは 1/2 となり、レベルの減衰量は 3dB となります。

ただしこれらは音源から十分に離れた場合であり、音源の近傍ではエネルギーの拡散が少ないためレベルは減少しません。 つまり建物の外壁面全体から音が発生している場合や、点音源や線音源が無数に点在する都市部の地表面等は面音源として考えられますが、これらの音源では面の短辺より短い距離では音の減衰は期待する事が出来ません。

 

音の反射・透過・吸音

音の進行方向に硬な板がある場合、音のエネルギーのほとんどは跳ね返されてしまいます。 しかし僅かではありますが音のエネルギーが板を振動させ、この振動が入射面と反対側の空気に圧力変化を与える事によって音の再放射が行われます。 このような一連の減少が音の「反射」と「透過」です。

仮に入射音に対する反射音のエネルギーが 99.9% であった場合のレベルの減衰量は 0.004dB 程度ですが、この時の透過した 0.1% はレベルの減衰量で 30dB となります。 このような減衰量の値は「透過損失」と呼ばれる量で、壁や窓などの「遮音性能」を示しています。 透過損失は材料の重さが増すほど大きくなり、一般的には同じ材質の場合、厚さが2倍になれば透過損失は 5~6dB 増加します。

音の入射面にウレタンフォームや綿のような繊維質の素材が置かれた場合、音のエネルギーのほとんどはこれらの素材に入り込み空気層や繊維を振動させます。 これらの振動は熱エネルギーに変換され、その分だけ音のエネルギーは減少します。 この現象が「吸音」で、失われたエネルギーと入射音のエネルギーとの比を「吸音率」といいます。(吸音率が1の時の反射音はゼロになります)

 

音の波長と周波数

音の圧力変動は密と疎が繰り返す縦波で、密と疎の間隔が波長(m)、1秒間の波長の数が周波数(Hz)となります。 人が音として知覚できる周波数の範囲はおおむね 20~20kHz ですが、この範囲内で数値が低い音を「低音」、数値が高い音を「高音」といい、この周波数範囲を超えて低い周波数帯域を含む 1Hz ~ 100Hz の音を「低周波音」、可聴範囲のうち概ね 10kHz 以上の音を「高周波音」、更に可聴範囲を超えた 20kHz 以上の音を「超音波」といいます。

「波長」は1秒間に音が進んだ距離(音速)を周波数で割った値として与えられます。

例えば 1000Hz の音の波長は 340/1000=0.34(m)になります。

 

音の速さ

音の速さ(音速)は 340m/s という事は知られていますが、これは大気の温度が 15℃の場合であり、大気の温度が変われば音速も変化します。

c=331.45+0.6t (m/s)  t は大気の温度(℃)

また音は空気を媒体として伝搬しますから、風などにより空気の状態が変化すると音速も変化します。